診断基準

 

以下は、「厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患克服研究事業 弾性線維性仮性黄色腫の病態把握ならびに診断基準作成」で作られた診断基準です。

詳しくは難病情報センター長崎大学病院皮膚科・アレルギー科のサイトを参照してください。

 

診断基準

A.         診断項目

1. 皮膚病変がある

2. 皮膚病理検査で弾性線維石灰化をともなう変性がある

3. 網膜色素線条がある

4. ABCC6 遺伝子変異がある

B.         診断

Ⅰ. 確診: (1または2) かつ 3

Ⅱ. 疑診: (1または2) のみ、3のみ

 

注意: 疑診例に4遺伝子変異を証明できた場合は、確実とする。

 

解説

1 皮膚病変

10-20 代で頚部、腋窩、鼠径部、肘窩、膝窩、臍周囲に好発する集簇性または線 条に分布する黄白色丘疹で、癒合して局面となる場合もある。口唇粘膜に黄白 色斑が認められる。典型的皮疹は見慣れた皮膚科医師には診断は容易であるが、 皮疹を見慣れていない場合、また非典型皮疹のみの場合は、必ず組織検査を併用しなければならない。

2 病理像             皮疹のある部位から組織検査を行う。HE 染色で、真皮中層~下層に好塩基性に染色される石灰沈着を伴う変性弾性線維を認める。Von Kossa 染色等で石灰沈着 を証明することは早期病変の診断ならびに鑑別診断に有用である。皮疹が無い場合は、ブラインドで頚部、腋窩など好発部位より組織検査を行い、石灰沈着をVon Kossa染色等で証明する。

3 網脈絡膜病変  Bruch 膜の断裂に伴い網膜色素線条を呈し、それに続発して網膜下出血や脈絡膜 新生血管を生じることがある。その結果、重篤な視力障害をはじめとした種々の視機能障害をきたし得る。眼底にはオレンジ皮様変化を認める症例もある。

4 遺伝子診断      常染色体劣性遺伝形式をとる。長崎大学では代表的原因遺伝子である ABCC6 変異部位同定を行っている。長崎大学皮膚科のホームページにリンクを設けて医師からの依頼を随時受け付けている。

http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/dermtlgy/

5 循環器病変      中血管の中膜弾性線維の変性・石灰沈着を生じ、虚血性障害を引き起こす。間欠性跛行、冠動脈疾患、脳梗塞、高血圧などが起こる。特異的症状はないものの PXEではその頻度は高く、特に若年時から発症することがあるので注意を要する。

6 除外すべき疾患            類似皮膚症状を呈するもの:

 PXE-like papillary dermal elastolysis、D-penicillamine 内服

網膜色素線条を呈するもの:

 骨 Paget 病、鎌状赤血球症、Ehelers-Danlos 症候群、鉛中毒、外傷

脈絡膜新生血管を生じるもの:

 

 加齢黄斑変性、変性近視