PXE(弾性線維性仮性黄色腫)や網膜色素線条症の患者の人たちの体験談を紹介します。

内容は基本的に本人の記憶や認識に基づいています。(まとめ・丸山博)

 

 


 

【関東在住 女性 61歳】(2018年6月1日)


 2005年春にテレビの字幕がうまく読めないことに気づきました。その時は大して気にしませんでした。

 数カ月後、駅の階段を踏み外して転倒し、顔を強打しました。総合病院で目の検査をしたら、左目がまったく見えなくなっていました。

 眼底検査の結果、網膜色素線条症と診断されました。その総合病院の眼科に、ある大学病院から来ている先生がいて、たまたまその先生に診てもらったことが幸運でした。その先生が網膜色素線条症の患者を以前にも診たことがあったため、私の時もすぐに診断がつきました。遺伝性ということも教えてもらいました。(弾性線維性仮性黄色腫の)全身症状についても教えてもらいました。血管に瘤ができやすいこと、皮膚に症状がでることがあること、心臓に症状が出ている人がいることなどです。高校生で診断されている人もいるとも聞きました。すぐに皮膚科にも行きましたが、私の場合、皮膚の症状はありませんでした。

 

 左目が見えていなかったのは、駅で転んだときの出血によるものだったようです。

 数カ月後、キッチンのタイルの格子状になっている線がゆがんで見えたのです。本を読むとき、字は普通に読めたのですが、本を開いたときの真ん中の線が曲がって見えました。その時に左右どちらの目の見え方に変化が出たのか今では思い出せません。病院では、「このまま様子をみましょう」と言われ、経過観察することになりました。

 とても混乱しました。医師に聞いても予後は分かりませんでした。

 自分でいろいろな本を読み、必死で調べました。食事療法の本を出している眼科医のところに行ってみました。甘い物をほとんど食べず、玄米、野菜、魚などを主に食べました。最初は頑張って実行しましたが、かなり厳格で、つらくなって、長続きはしませんでした。今もできる範囲で健康的な食生活を心がけています。ルテインのサプリメントを飲んだりしていますが、本当に効果があるのかは分かりません。

 

 視力が一気に悪化したのは2011年3月11日の東日本大震災の直後でした。家が大きく揺れ、そのショックや不安が続いていました。ある時ふと気がつくと、家の照明が非常に暗くなったような気がしました。いつもの半分ぐらいの明るさに感じられたのです。

 今も通院しています。視力は左が0.02で、両目合わせて0.2以下です。視覚障害の5級です。見え方としては、中心より上半分が見えず、下の方は見えています。駅のホームで何番線か書いてあっても、読めません。近所の人とすれ違っても、顔が識別できないので、あいさつができず、失礼なことをしていないかと心配になります。外出先でおしゃれなトイレに行くと、ボタンの位置が特殊な場所にあったりして、探すのが大変なんです(笑)。

 

 家事は工夫しながらこなしています。白い茶碗だとご飯粒がついていても分からないので、黒い茶碗を使っているんです(笑)。しゃもじも黒なんです(笑)。大根など白いものを切るときは黒いまな板を使うんですよ(笑)。

 何かを読むときはルーペを使って拡大して読みます。その方法で時間はかかりますが、レストランのメニューも読めます。

 

 網膜色素線条症の患者会がなかったので、加齢黄斑変性の患者会「加齢黄斑変性友の会」に数年前に入会しました。そこで、網膜色素線条症の人が私以外に2人いたのです。その3人で集まることもありました。友の会のみなさんと、目に関するいろいろな悩みをお互いに話せたことで本当に助かりました。

 

(Q丸山:PXE(弾性線維性仮性黄色腫)の診断は確定していますか?)

 昨年11月に東京で開かれたシャロン・テリーさんの講演会に行くまで、私はPXEのことはあまりよく理解していませんでした。私はPXEとは診断されていません。眼科で網膜色素線条症が見つかっても、経過観察となることがほとんどです。眼科医は目だけ、皮膚科医は皮膚だけ、ということになってしまっている気がします。目に病気が見つかって、皮膚や心臓、脳などにいろいろな病気が疑われるなら、一人の人間の身体として、全身を総合的に診る医療にしてほしいと思います。

 

(Q丸山:いつも笑顔で話し、表情が明るいですが、明るく生きる秘訣はなんですか?)

 そんなことないです(笑)、実は私は根暗なんですよ(笑)。

 これまでの経験から判断して、ストレスが目の症状となって表れると思っているので、ストレスを減らして暮らすことを心がけています。

 加齢黄斑変性友の会でみなさんと知り合い、みなさん不自由で大変な思いをしていることが分かり、自分一人じゃないと分かったことで、前向きに考えられるようになりました。くよくよ考えても解決策がないんだったら、落ち込んでいても仕方ないと思いました。くよくよしていたらなおさら目に良くないと思います。

 

 病気の体験を共有できる人がいると、気持ちが楽になります。今こうやって(喫茶店で)お茶を急須から注いだらよく見えなくてこぼしてしまったんですが(笑)、同じ病気の人だったら、こぼすことがあることをすぐに分かってくれる。そんなどうってことないことが、救われるんです。自分一人ではないことが分かると、救われるんです。

 網膜色素線条やPXEで一人で悩んでいる方がいると思います。私の体験談が何かの役に立てば幸いです。ありがとうございました。